アバンセライフサポート社長のつぶやき

夜明け前が一番暗い 

    前月からの続編です。生活保護に関して、「働いたら罰金、働かないとボーナス、主人がいると罰金、いないとボーナス、長生きするのが辛い。間違っても80歳、90歳まで生きたくない。」格差社会で人生を諦め、刹那的に生きる人が増えています。この話を聞いて本当に涙が出てきました。
  約2ヶ月前の話ですが、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領とアメリカのトランプ大統領が停戦について話し合っていましたね。トランプ大統領は、「我々は今まで充分に君達に軍事支援をしてきた。もう御免だ。アメリカが降りれば君達がロシアに勝つ見込みはない。すぐに停戦交渉に入るんだ。」と超上から目線で話し始めました。ゼレンスキー大統領は、「戦争を早く終わらせたいのは私達も同じです。しかしこの戦争は私達が始めたのではなく、ロシアが始めた戦いで、停戦しても一時休戦で終わる可能性が高い。我々はその後の安全保障がどうしても欲しいのです。ウクライナにとってはNATOに加盟することが最も大きな牽制で、強い安全保障になります。」と答えました。トランプ大統領は、「ウクライナとロシアの間にある地域を緩衝地帯にして、その地域のレアアースをアメリカにくれればそれが何よりの安全保障になる。どうだ。」と言います。一事が万事、自分にとって損か得かしかなく、彼にとっては何十万、何百万の命も交渉材料の一つでしかないのです。
  世界の超大国アメリカが新自由主義のもと、ヒト・モノ・カネの移動を自由にして国際的な金融業やIT、AIを発展させ利益を出していますが、製造業は安価な人件費の国に移動、生産拠点をアメリカ以外の国に移してきました。結果的にアメリカの工業地帯は劣化(ラストベルト化)、アメリカの赤字は自分が蒔いた種なのに、関税で回収し、国内雇用を維持させようとしていますね。日本のように国民皆保険や、介護保険でセーフティネットを構築することなどトランプ大統領の4年間では考えることもありません。ロシア、中国、アメリカの三つの大国は、現在の国際社会において強い影響力を持ち続けるでしょう。この状況の変化は簡単ではなく、個人の力だけではすぐに大きな流れを変えることは難しいかもしれませんね。
  国を信頼していないロシア人には「ダーチャ」という住まいがあります。旧ソ連の計画経済体制のもと、日常的に食糧が不足し、言いたいことを言えば刑務所送りの生活から抜け出し、街に住む家と田舎にも家を持ち(小さな小屋から大きな別荘まで)平日は会社勤め、週末は農業で自給自足のめりはりをつけた人生を2拠点生活で、政府リスクを回避する生き方で生き抜いた人達が数多くいますが、日本でも今後様々なリスク回避、実証実験で自らの幸せ、家族の維持が行われていくものと思われます。
  近代においては、1789年にフランスから始まった民主主義がナポレオンで納まり、第一次世界大戦、第二次世界大戦につながり、戦後はグローバル資本主義が幅をきかせ、「より良いものを安く」手に入れたい人間の基本的な欲望に基づいた新自由主義からは、我々は逃れようがありません。世界の三大大国がそれぞれの経済的な方針を完全に維持し続けることができるとは思えませんが、この4~5年は新たな民主主義の芽生えを待つしかありませんね。

  介護業界も介護保険が施行された2000年と様変わりしています。施行時の一億総中流の中間層がどんどん減って富裕層と下層が分厚くなり、我々のメイン顧客である年金満額世代が激減。特別養護老人ホームでも利用料が支払えない人が急増し、入居者集めに血まなこになっています。しかし、私の町でも富裕者向け施設は無く(人口約38万人の一宮市)名古屋市に吸い上げられているのが現状で、貧困者向けは絶対量が足りず、介護難民がたむろしている現状を考えると、安心して幸せ感を持って、人生を全うすることが可能な、民を主体と考える社会が待ち望まれます。夜明け前が一番暗いと言います。今しばらくの我慢ですかね。

2025年5月30日(金)

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