民主主義の危うさ
政治家の先生方の中で、「民主主義の危機だ」と叫ぶ人たちが増えていますね。テレビメディアの中でもトップの視聴率を誇ったフジテレビのあの見苦しさ、そして全国7位の人口(約550万人)を誇る兵庫県の議会の見るに堪えない泥仕合を見ていますと、何が正しいのかより、何を通して伝えられたことが正しいと考えているのかで、受け手の真実が違うのだという時代が来たようですね。富士山を山梨県側から見ているのか、静岡県側から見ているのかの違いのように。1789年に始まったフランス革命は、最後は1799年のナポレオン政権で一応の完成をみますが、王朝政治から第三身分(平民)の台頭、人権宣言の公布、市民革命へと移行、紆余曲折はありますが、民主主義らしきものが芽生え、現在に至っています。しかし、完成されたものではありません。イギリスの名宰相、ウィンストン・チャーチル氏の名言に、「民主主義は最悪の政治形態といわれている。他に試みられたあらゆる形態を除けば」という見事に言い得た言葉がありますが、民主主義の権化である議会や正義を体現するべくメディアも、時代の変化についていけないと、いとも簡単に原則が崩れていくのですね。
我々の介護業界ですが、外国人の受入れにはまだまだ拒否反応が強く、受入れは進んでいませんが、ようやく今春、在留資格「特定技能」や「技能実習」を持つ、既に介護施設で働く外国人5万3千人を対象に、初任者研修受講を条件に訪問介護が解禁されることになりました。新規の受入れも、特定技能は現状約3万7千人を受入れているのが、政府は2028年度末までに最大13万5千人を受入れるとしています。有料老人ホームやサ高住、そして訪問介護の現状を考えると当然のことでしょうね。ベビーブーマーは毎年240~260万人生まれていましたが、昭和25~26年以降は一気に減少し、150~170万人、現在日本中で建設されている福祉施設は20年後大量に空室が出現、それだけなら良いのですが、大量の失業者が福祉業界から排出されることになります。その時に出生国に帰国していただける労働者を大量に採用していないと、大きな社会問題、大混乱を引き起こすことになります。しかし、人間は経験していないことに想像は働かない動物で困ったものですが、本来子どもの代に社会不安を起こさせないことを今から考え、20年30年先の社会情勢や雇用を意識する必要があります。私が子どもの頃、石炭産業、繊維産業は花盛りで、私の住む一宮市は地方からの集団就職の女工さんでいっぱいでしたし、優秀な男性が大挙して就職する町となりました。小さな繊維会社に京都大学卒や早稲田大学卒の人などがわんさといて、我が世の春を謳歌した人たちが軒並み「就職に失敗したな」と言っていますね。仕方がないですよね。石炭産業→石油産業→重化学工業→ハイテク産業へと社会のトレンドは変わっていったのですものね
突然ですが、私には子どもが4人います。驚くなかれ、一人として新聞を購読していないのです。私の世代に新聞を読まないなんて考えられないですね。新聞には傾向があります。朝日新聞と読売新聞と産経新聞では記事に少しずつ違いがあり、一紙だけでは不安なので2~3紙は必ず読みます。最も分かりやすい違いが社説ですね。しかし、違いはあっても大きなブレではなく、読んでいて安心感のあるのが新聞です。しかし、インターネット、SNSは違います。兵庫県知事の選挙でも、ネットで真実を知ったと言う人が大多数で、その真実も耳触りの良い面白いゴシップ風のニュースに共感した人たちが「いいね」を押し、根拠に乏しい同調感で連帯し、大きな流れになっていました。「人間の脳は皆が同じことを言っていると、自分も何となく信じてしまう。」このことをヘブライ大学のユヴァル・ノア・ハラリ教授(『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』著者)は、「集団で虚構を共有する能力」と言っています。「虚構」を「主観」と言い換えると分かりやすいですが、ネットでは、「私はこう思う。あなたもそう思わない?」が簡単に広まり、とんでもない暴走が起こり、社会をあらぬ方向に導いていく、民主主義は民が中心の社会だけに、その怖さを感じさせますが、民主主義、それ以外の社会体制を私たちは持っていませんものね。
2025年2月28日(金)