日本独自の民主主義を目指す時が来ている
10月21日、アメリカが国連安全保障理事会の各理事国に対し、パレスチナ自治区のガザ情勢についてイスラム組織ハマスを非難、イラン、ヨルダンを始めとする中東諸国をけん制する決議案を提出、ダメ押しに安全保障理事会でも拒否権を行使しましたね。自由と平等を国是とするアメリカは、時々とんでもないことを当たり前に決議し行動しますが、時に習近平国家主席でも逡巡するような蛮行を平気で行います。ロシアのウクライナ侵攻とイスラエルのガザ侵攻とはそれほど大きな違いはありませんが、アメリカにとっての正義はそれほど違うのですね。ロサンゼルスのダウンタウンでホームレスがたむろする中、道行く人々が彼らをまたいで歩くほど格差が拡大、バラクオバマ大統領が一念発起し提出した健康保険法が否決され、貧困は自己責任と議会が一蹴した時を思い出します。強者が弱者に対して共感しない。すぐ隣にリトルトーキョーがあり、ちょっと離れれば世界中のお金持ちが集まるビバリーヒルズ、ディズニーランドがあります。当時、現地のホームレスのみなさんと少し話しましたが、一様に、「仕方がない。俺たちは負け犬だから。」と言い、努力が報われない社会の問題とも、成功者への羨望や嫉妬の言葉も聞くことはほとんどありませんでした。
1元アメリカ大統領のジミー・カーター氏は、91歳時に悪性黒色腫が脳に転移し、余命1~2年との報道が以前ありましたが、驚くなかれ、「最新の免疫療法」で寛解し、99歳の今なおご存命とのことです。アメリカの医療チームはこれをもって、癌治療の莫大な開発費、治療薬、医療費は正当化されたとしましたが、未だに白人と黒人との平均寿命の差異を議論しようとはしません。先進国で公的な医療保険が未だにない国はほとんどありません。
1アメリカであった実験です。学生を二つのグループに分け、一方は受刑者、もう一方は刑務官の役割にして数週間過ごさせると、片方はどんどん受刑者らしくなり、もう一方はどんどん刑務官のようになったとのことですが、日本の政治家、行政マン、学者は一様にアメリカに留学したがり、中国やイラン、ロシアに留学したがりません。今回の内閣改造を見ても、女性の入閣5人が過去最多だということはニュースになりましたが、アメリカ留学の人数を問題にする人はいません。
先日中国に出張、上海、南京、蘇州と回りましたが、日本人の考え方は分かり易いとも言われました。「アメリカのポチ」とまで言う人はいませんでしたが、キリスト教的価値観から、太陽や月や草木から土、風、トイレの中まで世の中に存在する全ての物や心の奥深くにまで神が宿っていると考える「八百万の神」として崇める神道を基本にした農耕民族としての新しい民主主義を考え、幸せとは何か、限りなく犠牲となる人を減らすことを尊ぶ、許容範囲の格差とはどの程度なのか、アメリカ型民主主義とは違った日本独自の民主主義を目指す時が来ているのかもしれません。
2023年12月01日(金)