アバンセライフサポート・ファウンダーのつぶやき

派遣会社のポジション変化

  JICA(国際協力機構)から、「日本に住む外国人、特に日系人に焦点を当てたセミナーを開催したい」とのお話があり、昨年夏と今年の初めの二度に渡って JICA 主催ウェブセミナーの講師を務めました。「入管法改正30年を経た日系人」について、私は派遣会社経営者として携わってきた35年間の紆余曲折をお話しました。私たちの業界は最初の頃は労働者の代理人の役割を果たしていました(下図①)。日々を経て下図 ②のように企業の意向を汲んで活動するようになり、現在は③の企業の第二人事部のような役割を果たしています。労働者を守る役割であったはずの私たちは企業寄りになり、当初の私たちの役割を合同組合(ユニオン)が担うようになってきました。人材は必要だが、雇用に関する面倒なことにはあまり関わりたくない。まさに「コストは管理したいが、コンプライアンスには関わりたくない」、このような隙間産業が育ってきたのです。日本人は外国人と労働者としては付き合うが、身近な隣人としては付き合いたくない。多くの外国人が公営住宅で暮らすのも、民間だと日本人の連帯保証人が必要だが、公営(UR 他)であれば必要ない。民間でも派遣会社の借り上げ住宅であれば大家さんはOKしてくれるので、必然的に公営住宅には外国人が多数住み、派遣会社住宅となっていくのでした。

   
派遣会社のポジション変化

  日本は民主主義の国ですね。そして資本主義の国でもありますね。民主主義は多数決の合議が大原則、ここは日本人が大多数の国ですから、外国人や障害者というマイノリティはいつも「郷に入っては郷に従え」を要求され、周辺化することになります。画期的な判決が出るかと期待した東京都武蔵野市の住民投票条例案(多国籍住民の投票参加を認める案)も昨年末市議会であっさり否決され、多数決で決める民主主義の限界を感じられた方も多かったと思います。資本主義は素晴らしい制度ですが、戦後の高度成長を支えた「団塊の世代」がおよそ1,200万人もいて、この成熟した世代の人たちが「成長から成熟社会へ」「人口増社会から少子高齢化の人口減社会へ」経験値のない社会問題に解決の糸口を見つけられないところに問題があるのです。私のよく知った経営者は、「俺の目の黒いうちは、若い者たちには絶対に渡さん」などと言い、「長く続いている古いものは文化だ。新しい形に変えて残していくことは大切かもしれないが、そのままの姿を後世に伝えるのはもっと大切なことだ」と言い、旧来のものにしがみついています。この戦いは人数も多く、経験値と資産のある中高年者老人が勝つに決まっています。だから武蔵野市の市長も一旦引き、巻き返しのチャンスを待つしかなかったのでしょうね。外国人、高齢者など社会的弱者とされる人たちに思いを致さない社会は、おのずと次の時代にしっぺ返しを食らうことになるでしょうが、それまで待つことは到底出来ません。民主主義とは誠に面倒臭いものです。
  私は、冒頭の講演の最後に、「誰も法外な望みを持っていない。この国で安定した仕事をして子育てが出来、安心感、幸せ感を持って人生を全うしたい。ただそれだけ。」と結びました。新型コロナ禍が終焉を迎えようとする今、この春から大量の留学生、技能実習生、特定技能、日系人が来日し、医療福祉産業も含め様々な人手不足産業に従事することとなりますが、この小さな幸せ感を約束できない国が人を呼んではいけません。恨みを買い、対立を招き、最後は暴動やテロ行為につながり、反社会集団を生むことになり、世代を超えた不幸の連鎖を生むことになるでしょう。

  

2022年03月01日(火)

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