人材成長が真の利益
1月21日発刊の週刊ダイヤモンド(ビジネス雑誌)は、『超・階級社会 貧困ニッポンの断末魔』を特集とあり、思わず手に取りました。私は、日本の所得階層は上級、中級、下層の三層があり、中級国民が最も分厚い安定して国だと思っていましたが、最も分厚い資産層はアンダークラスで約77%、それもアンダークラスの約80%が下の層だったのです。
中級国民が人口の50%ほどだと私は予想していましたが、現実は約13%、それも下振れし、下級のマス層に流れ込んでいるではありませんか。週刊ダイヤモンドは、「かつてジャパン・アズ・ナンバーワンと称された日本は、いまや『貧困ニッポン』と化し、下剋上が一切起こり得ない理不尽な超・階級社会と成り果てた」と断じています。
1991年のバブル崩壊の真っ只中に高等学校や大学を卒業した世代の人々は、超就職氷河期の中で多くの人がフリーターとして非正規労働市場に流れ込んでいます。46~50 歳の世代は、毎年180万~200 万人余り生まれ、バブル崩壊という時代の不運を一手に引き受けてくれた世代です。新聞報道を見ていても、時代の不幸は誰も語ってくれません。「8050 問題」を合わせて語って掘り下げて欲しかった思いでいっぱいです。メディアで働く人たちは高学歴で、下層の人たちに対して哀れみの心で対応し、共感の心は働きません。
我々が社会そのものを変えることはできませんが、新たな動きが広がりつつあります。「人件費の投入を1割増やすと、5年後のPBR(株価純資産倍率)が13.8%向上する。研究開発投資を1割増やすと10年を超えた後にPBR が8.2%向上する。」とのことです。財務諸表では経費ばかりが増え、利益が減りますが、人材や知財が育成されることで5~10年先の企業価値が向上するというのです。特に福祉は物ではなくサービス品質が問われる産業で、人材成長と業績が相関関係にあり、財務諸表を名目利益、人材成長が真の利益と考える関係者が少しずつ出てきました。これが社会全体の大きな流れになるといいですね。
2022 サッカーワールドカップ決勝のアルゼンチンとフランスの対決はペナルティー合戦、中でもアルゼンチンのリオネル・メッシとフランスのキリアン・エムバペの手に汗握る攻防は、午前3時過ぎまで放映、私も興奮して夜明け近くまで眠れませんでした。しかし、カタールの会場建設で突貫工事を強いられ、気温45度の中1日10時間以上働かされ、6,500人以上の外国人労働者が亡くなった報道はごく一部しか伝えられませんでした。死亡原因は「心不全」や「呼吸器不全」が大多数、それらは症状であって原因ではありません。したがって「自然死、病死」として扱われ、労災認定もされず、カタール政府は原則一切の補償もすることはありませんでした。石油成金のカタール国民はどうか。国民1人当たりのGDPは6.2万ドル(日本は3.9万ドル)、所得税はなく、電気代、医療費は無料、実に優雅な暮らしをしています。
資源のない日本はそれほどの凄まじい格差はありませんが、一部の富裕層とアンダークラスとの格差が徐々に開き、索漠とした社会になりつつある現実は憂慮されます。
我々が社会そのものを変えることはできませんが、新たな動きが広がりつつあります。「人件費の投入を1割増やすと、5年後のPBR(株価純資産倍率)が13.8%向上する。研究開発投資を1割増やすと10年を超えた後にPBR が8.2%向上する。」とのことです。財務諸表では経費ばかりが増え、利益が減りますが、人材や知財が育成されることで5~10年先の企業価値が向上するというのです。特に福祉は物ではなくサービス品質が問われる産業で、人材成長と業績が相関関係にあり、財務諸表を名目利益、人材成長が真の利益と考える関係者が少しずつ出てきました。これが社会全体の大きな流れになるといいですね。
2023年02月03日(金)