アバンセライフサポート会長のつぶやき

最後は私たちが支える

  11月8日、絵本作家・児童文学者の松居友さん(69歳)とお目にかかりました。彼はフィリピンのミンダナオ島で「ミンダナオ子ども図書館」を主宰しておられます。ダバオから車で約3時間南に行くと、Kidapawan(キダパワン)にたどり着きます。この町は標高約1,000メートル、夏でも冬でも温度差があまりなく、湿度も日本ほど高くなくて実に住みやすい町です。日本の軽井沢は、夏は高原の爽やかな風が吹きますが、冬は凍てつく寒さ、1年のうち半分しか楽しくありません。しかし、キダパワン市は春夏秋冬軽井沢の夏を思わせる気候が続きます。だからと言っては何ですが、のどかな緊張感のない子どもたちが育つのでしょう。ここから奥は有名なイスラム教徒の分離独立運動の拠点「モロ民族解放戦線」になっていきます。キダパワンに入るまでには検問が2か所あり、私たちのパスポートとカバンの中身を調べられました。嫌でも気持ちが張りつめていきます。彼ら先住民のイスラム教徒は、土地も含め「全て共有」が原則、全てにおいて個人の利益より共同体の利益が優先されます。そこに資本主義社会の私有、競争原理が持ち込まれたのでは揉めるのは当然、今も火種は燻り続けています。そこで活動する松居氏が素晴らしいのは、フィリピン国軍とモロ民族解放戦線との「どんぱち」の真っただ中、戦災孤児の受入れ施設を建設、子どもの受入れと教育を始めたことでした。協働の人生観、未来を考える重要性、人類愛は幼児教育に根付くものだと彼は考え、20年、30年先を見据えた施設の建設、人材育成に取り組んだのでした。

 
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  絵本作家としての彼の幼児教育理念・哲学はこの少ない紙面では書ききれませんが、おおざっぱに4~5歳までに倫理観、勤労の喜び、社会への感謝、連帯など、敵・味方の区別なく共通の人生観を身につけさせたいというものでした。争いはほとんどが人生観の違いから起こるようです。ウクライナとロシアとの戦い、コソボ紛争、ミャンマーの内戦など…。韓国の敵愾心も日本に対する歪みのある教育を受け育ったことで、この2国は紛争の種が尽きず、無限の争いの連鎖を引き起こすことになっています。幼いころに形成される価値観、人生観として宗教がありますが、ロシアとウクライナの戦いもロシア正教とローマカトリック教徒の戦いに見えるのもあながち的外れではないのでしょう。タクシー会社を経営する友人が、「林さん、運転手はね、年を取ると最初に覚えた場所に戻りたがるのだよ。」と言っていたように、最初に身につけた価値観、人生観から終生離れることはないのですね。松居さんは本当に偉い。
NHK 放送文化研究所が行った「日本人の意識調査」があります。そこでは日本人の意識を4 つのカテゴリーに分けて分析しています

快志向 自分の好きなことをして自由に楽しく過ごす 36%
愛志向 身近な人たちと仲良く和やかな毎日を送る 40%
利志向 しっかり計画を立て貯蓄、資産をふやすこと 12%
正志向 みんなで力を合わせ、世の中を正しい方向に変える 3%
その他 9%

  最初に身につけた人生観を基軸に後天的に学んだ人生観で生きている人間、そして80%余りの人が無理せず身近な幸せを求め生きている。こんな日本人像が浮かび上がってきます。
  争いのない平和な社会づくりの必要性は、コロナ禍とロシア・ウクライナ戦争を契機により一層身近に感じられるようになってまいりました。私たち福祉事業者は、高齢者が幸せ感を持って人生を全う出来る社会を、そして若者には仕事や家庭生活を思い切りエンジョイし、幸せな人生を送り、「最後は私たちが支えるので何も心配することはありませんよ」とのメッセージを発信し続けるのが仕事です。
何はともあれ今年も残りあと僅かとなりました。一年本当にご苦労様でした。心より御礼申し上げます。
新年も引き続き皆様のより一層のご支援ご協力をお願い申し上げます。

  

2023年01月05日(木)

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