アバンセライフサポート・会長のつぶやき

社会の問題解決ツール(リバースモーゲージ)

  今年私は72歳、寅年生まれの年男です。かなり以前の話ですが、ヒルトン・ホテルの創業者コンラッド・ヒルトン(1887-1979)は、1944年に「苦しんでいる者、困窮する者、極貧者を救うため」の財団を設立し、2007年、彼の息子バロン・ヒルトンは、全財産(2700億円、現在の価値で1兆円近く)の97%を財団に寄付すると表明しました。孫のパリス・ヒルトンは浪費家で「お騒がせセレブ」として有名ですが、その孫に渡したくなかったゆえの行動ではないかと話題になりましたね。キリスト教文化には輪廻の概念がありません。死んだら神のもとに行くのだから、寄付で善行を行うことも神の思いにかなっているからなのです。『ルカによる福音書』に「敵を愛し、あなた方を憎む者に親切にしなさい。悪口を言う者に祝福を祈り、あなた方を侮辱する者の為に祈りなさい。人にしてもらいたいと思うことを人にもしなさい。何も当てにしないで貸しなさい。あなた方の父(イエス)が憐れみ深いように、あなた方も憐れみ深い者となりなさい。」とあります。輪廻の宗教を信仰する日本人は、財産を子どもに残したい、仕事も後を継がせたいなど様々な思いを次世代に託し、「売り家と唐様で書く三代目」と成り果てるのです。
  私もバロン・ヒルトンさんまでは無理でも、人生を終える時、資産の多くは社会福祉法人、財団法人、医療法人、学校法人に寄付し、家族には10%程残せばいいかなと考えています。自分が死ぬ時にバランスシートがゼロになるなら、生きているうちに不動産などを棚卸して現金化、バランスシートをゼロにする発想が「リバースモーゲージ」です。国際的に有名な某基金に寄付しても、その一部が人件費や広告費など多額の間接費で消えていきます。リバースモーゲージの利用者は、自宅を担保に差し入れ、金融機関からお金を借ります。利用者はお金が必要になった時、限度額内で一定の融資を受けたりします。公的年金で生活費が賄えない人、病気になったりした時に使います。
  私たちが考えるリバースモーゲージは、施設に入所後空き家を賃貸住宅にして施設費に補填、全て使い切ると生活保護に変換、まさに亡くなるまで安心できるモデルになります。欧米では 30年、50年を経た中古住宅も資産として評価されますが、日本では担保評価が信じられないほど下がるので、生活保護をセーフティネットとして活用することになります。私が理事長をしている社会福祉法人であれば財務の透明性が高いので、受け皿として適切だと思います。これはたたき台であって、みなさんの思いを汲んで少子高齢化社会と空き家15%社会の問題解決ツールになることを望んでやみません。

   
リバースモーゲージの仕組み図
  

2022年01月28日(金)

▲ページトップへ