来年は一体化させる一年に
私は温泉が好きで、妻とともに月に2回ほど日帰り温泉やスーパー銭湯に出かけています。さらに、2カ月に一度位温泉旅館に宿泊するのが楽しみです。温泉では、到着して食事前に一度、食後にもう一度、そして寝る前にもう一度。翌朝も食事前にひと風呂浴びてから朝食をいただく。そんなゆったりした贅沢な時間が、何よりの幸せです。
旅館の宿泊料金は、土日や祝日だと3〜4万円ほどですが、金曜日なら半額近くで泊まれる宿も数多くあります。実際、10月の金曜日に石川県七尾市の「TAOYA」ホテル(大江戸温泉物語の上級宿)に宿泊しました。翌日の土曜日は38,000円の宿泊料が、金曜日なら18,000円。まさに温泉ホテルは「空間を売る産業、需要と供給により日によって価格の違う産業」だと実感しました。
しかも、チェックインからお酒やビールは飲み放題。チェックアウトまで追加料金は一切なし。税込18,000円で、心も体も満たされる滞在でした。
大江戸温泉物語や湯快リゾートは、かつての温泉宿をリノベーションし、現代のニーズに合わせた宿へと生まれ変わらせています。30〜40年前のトレンドが随所に残っていて、それを読み解くのも面白いものです。
温泉宿が繁盛すると新館を建て、さらに別館、別館2と増築していきます。その結果、館内には段差ができ、エレベーターが4〜5カ所もあり、大浴場や食事会場へはまるで迷路のような道のりに。新館も別館も同じ仕様で建てられているため、時代に合わなくなると一斉にお客が離れ、最終的には大江戸温泉物語のような再生チェーンに運営を引き継ぐケースも少なくありません。
私が泊まった「TAOYA」も、畳の宴会場を洋室に改装し、5〜6人が寝られる和室をビジネスホテル風の部屋に分割するなど、涙ぐましい努力の跡が見られました。時代のトレンドは常に変化します。微調整を怠れば、次の時代に取り残されてしまう。「TAOYA」に宿泊して、TAOYA、大江戸温泉物語、湯快リゾートという3ブランドの深化と進化の戦略に感嘆しました。
さて、私たちの業界の10年先はどうでしょうか。まずは日本の人口動態から見てみましょう。
男性の生涯未婚率は、1920年から1985年まで1〜3%台で推移していましたが、1990年には6%、2005年には16%に上昇。50歳男性の6人に1人が未婚者でしたが、2020年には約3~4人に1人が未婚という水準にまで上昇しており、2030年には男性29%、女性23%に達すると予測されています。昨年の出生者数が68万5千人だったのも、今年の出生者数も70万人を切る事も当然の結果と言えるでしょう。
特に東京圏、名古屋圏、大阪圏などの都市部では、地方以上にこの傾向が顕著です。単身世帯と2人以上世帯の年間収入を比較すると、50歳までは単身者が2人世帯より収入は上回りますが、50歳以降は2人以上世帯の方が高所得となります。
単身者の増加は、出生数の急減、低所得者層の増加、家庭での介護困難による介護需要の高まり、そして社会的孤立の増加等福祉が関わるさまざまな問題を引き起こします。行政の負担を増やし医療福祉の予算は際限のない膨張を招くことになりその火はまさに燎原の火のごとく、日本社会全体に広がっていくでしょう。
このような中で、私たち福祉の役割は、単なる事業ではなく、社会インフラとしての存在へと進化していく必要があります。その時、私たちが「選ばれる存在」であるためには、どのような形が求められるのでしょうか。
私たち一つ一つの施設には、どんな「持ち味」があるでしょうか。特徴がなければ、選ばれることはありません。5年後にありたい施設像は、5年後にありたい自分の姿がイメージできていなければ見つかりません。
その未来に向かって進むためには、自らの成長、施設の成長、そして賃金の向上が連動していく必要があります。来年は、それらを一体化させる一年にしてみませんか。
2025年11月28日(金)



