アバンセライフサポート社長のつぶやき

一歩踏み出す勇気

  「会社の寿命は30年」と言いますが、これは日刊工業新聞が上場会社の統計を調べて発表したもので、当時大変大きなニュースになりました。あの世界に冠たるトヨタ自動車でさえも、倒産の危機が二度ほどあったようです。まさに鎌倉時代初期の鴨長明さんの書いた『方丈記』の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖と、又かくのごとし。」ですね。いわゆる一発屋芸人や、タピオカドリンクなど私は一度も飲むことなくブームが終わったものもありますね。私たちの仕事もベビーブーマーが死ねばブームが終わるビジネスモデルで、今後20年しか持たない泡沫のビジネスバブルなのです。人口が1億人を切ったその時、膨大な数の介護施設が空き家になり、老朽マンションはスラム化して、過疎地域は廃村となる村も相当数出てくることでしょう。政府は20年後の人余り時代を想定し、外国人介護士を大量に受け入れ、ブームが終われば外国人は帰国していただき、日本人だけで介護が可能となるよう進めていますが、現場の反対もあり、遅々として進んではいません。団塊の世代が75歳を過ぎた今、これを乗り越えるのは外国人と福祉用具のロボット化以外の手段はないはずですが、その一歩を踏み出す人は少ない。答えは見えていますが、一歩踏み出す勇気もなく、もやもやした感情を秘め、日夜過ごしているのが日本の介護の現状です。
  人手不足対策の多くに解決法は見えています。難しいのは、答えらしきものがたくさんあっても、どれが最も効果的な答えなのか分からない問題、言い換えれば、どれが最もリスクが小さいのかよく分からないのが問題なのです。方法に確信が持てない時によく言われるのが、「みんながそう言っているよ。」です。数を頼み、リスクを自分に持ってこない。少しズルいのですが、これが一番安全な方法です。外国人を一人採用するのに、「理事会に諮ってみないと」と言うのと同じで非常にズルく、責任を回避し、多くの施設が採用するようになって、「みんなで渡れば怖くない」状態まで何もしない責任者、これが従業員のみなさんを不幸にしていることを本人は感じていません。介護の現場と同じで、場数を踏めばスキルは上がるのに、出来ない理由のオンパレードでは進むものはありません。
  中国の唐の時代、雲門禅師が弟子たちに、「過ぎ去った昨日までのことはともかく置いておいて、今日より以後の自分の人生で最も大切な事を一言で言ってみろ」と問いかけ、誰も答える者がいなかったので、雲門自らが答え、「日々これ好日(一日一日を最も大事なよき日と悟って生きること)」と言いました。人生はそんなに長くない。私ももうすぐ75歳、あっという間に後期高齢者です。後の世代に負担をかけない生き方、運営を心掛け、かつ自らも納得できる人生を目指し、毎日お互い思い残すことなく人生をエンジョイ、満喫して終えたいものですね。

2025年3月28日(金)

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